阪神18年ぶりの「アレ」再び!社員100人で26億円稼ぐ「パインアメ」製造元に注目
阪神18年ぶり“アレ”で注目 「パインアメ」製造元が社員100人で26億円稼ぐカラクリ - goo.ne.jp 阪神18年ぶり“アレ”で注目 「パインアメ」製造元が社員100人で26億円稼ぐカラクリ goo.ne.jp (出典:goo.ne.jp) |
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プロ野球の阪神タイガースが18年ぶりにリーグ優勝し、岡田彰布監督が試合中に声枯れ対策として口にしていたとして注目が集まっている「パインアメ」。商品とともに製造元パイン(大阪市)の知名度もさらに全国区になりつつある。そんな同社の主力商品はパインアメであることは間違いないが、意外にも商品単体の売り上げは全体の3割にとどまる。キャンディやのど飴などのほかに、パインアメブランドを活用したコラボや、法人向け商品も展開している。同社のビジネスモデルを取材した。
【画像を見る】「どんぐりガム」、「パインアメパン」「パインアメ味のポテトチップス」など他社コラボ商品の詳細(全9枚)
パインは1951年3月に創業。5年後に現在の社名に変更した。主力商品のパインアメは2021年に発売70年を迎えたロングセラー商品だ。キャンディー製造を主としており、パインアメ以外にも、あめとガムの二層構造が特徴の「どんぐりガム」シリーズ、シュワっとしたソーダキャンディ「あわ玉」シリーズを手掛けている。いずれも駄菓子屋で見ることが多く、懐かしさを感じる読者もいるだろう。
従業員数は100人程度でありながら、「マイナビ2025」で開示した情報によれば、全体の売上高は26億円(2022年2月)。人口減少や少子化が進む中、同社は事業の多角化で経営を維持している。その一つが、「パインアメ」ブランドを使った企業間コラボ商品の展開だ。
パイン社が初めてコラボ商品を扱ったのは、11年1月のこと。神戸屋(大阪府豊中市)とタッグを組んで「パインアメパン」を発売した。消費者向けの商品だけでは事業が先細りになるのが目に見えていたため、事業の多角化を模索していた時期だったという。そうしたタイミングで神戸屋からのオファーを受け、コラボ商品の実現に至った。
コラボ商品の発売を機にSNSでの情報発信を本格化させたこともあり、ネット上でコラボ商品は話題に。初コラボは大成功するとともにパインアメの知名度も格段に高まった。以降も「パインアメシャーベット」「パインアメゼリー」「パインアメ味のポテトチップス」などコラボ商品の発売が相次いだ。
当初、コラボ対象は食品ばかりだったが、現在では「パインアメハンドクリーム」「パインアメリップクリーム」などの化粧品、「パインアメマスキングテープ」「パインアメクリアファイル」「パインアメスマートフォンケース」など文具・雑貨でも登場している
●夏場の売り上げ減少をカバー
「パインアメとコラボした商品は売れる」。業界内でそんな評判が立つようになり、年々依頼が増えていった。今夏は洋菓子店を展開するクラブハリエとの「パインバーム」やファミリーマートとの「パインアメクリームパン」などの他に、パインアメを使ってシロップが作れる家電「パインアメ魔法のシロップメーカー」も発売。同社の広報担当者も「食品以外にも可能性が広がっている」と手応えを感じているようだ。
コラボ商品の収益の一部を「パインアメ」ブランドのライセンス料としてもらうビジネスモデルだが、同社の広報担当者によると「金額はそこまで高く設定していない」という。理由を尋ねると「コラボはあくまでパインアメの広告のような扱いのため」と回答。コラボ商品の発売で知名度が上がれば、自社商品の売り上げにもつながるという考えだ。
認知度の向上以外にも、コラボによる恩恵はある。同社によれば、アメの最大の敵は猛暑だという。夏はアイスクリームなどの冷たい食品に消費が集中し、売り上げが落ちる。そこでシャーベットやゼリー、アイスのコラボ商品を展開することで、売り上げの低下を一定程度、抑えることができるという。コラボで相手先企業の売り上げが伸び、自社にはライセンス料が入る仕組みは双方にとってウィンウィンの関係といえる。
●意外と知られていない企業向けキャンディ製造
パインアメの知名度アップは、同社の法人向け事業にも波及している。同社は、以前から企業向けのオリジナルキャンディの生産を展開している。仲良くなった人にアメを手渡すという、関西独特の“謎文化”を活用したものだが、近年のパインアメ知名度向上で「受注は増加傾向」(同社広報)と明かす。
企業の希望をヒアリングし、自社内の商品開発の部署が試作。味やパッケージなど了承を得た後に納品する。店舗の来客用や新商品の販促用に受注することが多いといい、例えば保険各社が契約者の勧誘用に作成依頼したり、家電メーカーが新商品の発売を記念して依頼したりするという。パインアメのように中心部に穴が空いた形状以外も対応している。
最近ではカー用品店「カーポートマルゼン」(大阪府堺市)の依頼を受け、車のタイヤをイメージしたコーラ味のアメを製作。X(旧Twitter)の自社公式アカウント(@pain_ame)で公開したところ、話題となった。
同社広報は「2020年に新工場を建設した。今後も本業のパインアメの売り上げ拡大を進めるとともに、コラボ商品で知名度を高めていきたい」とした。企業向けのアメ開発についても「会社の要望に応じて、さまざまな形や味を生み出せる自信がある。最近では豚骨スープ味のような変わった味のアメも企業からの依頼を受けて開発した。工場のライン数が限られるため、繁忙期は受注できない可能性もあるが、一度相談してほしい」と企業に呼び掛けている。
各事業の詳細な売り上げ構成比などは公表していないが、取材の中でパインアメを中心に多角化経営する企業の姿が明らかになった。阪神タイガースが18年ぶりにリーグ優勝したことで関西は盛り上がっているが、球団はすでに1985年以来の日本一を目指す体制に切り替えている。球団の快進撃とともに、パインアメ事業の今後にも注目が集まりそうだ。

(出典 news.nicovideo.jp)
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